初音ミク2連発

2016年3月22日 @NHKホール

 N響のポップス演奏の公開録画が当たったのでNHKホールに行きました。弟と門の前で待ち合わせして中に入ると、3階席です。ま、いっか。

 

 透過スクリーンがすでにステージに設置してあり、「あ、あそこにミクさんを映すんだな」とわかりました。司会のタレントとアナウンサーが登場し、一曲目が初音ミクでした。曲は「ハジメテノオト」です。

 

 オーケストラアレンジになった同曲にあわせて、透過スクリーンのミクさんが歌い踊り、マエストロが指揮をしてオケが演奏します。不思議ですね。どうやってあわせてるんでしょう?マエストロがクリック音を?あまり想像できません。

 

 素人で考えられるのはマエストロがミクさんの踊りを見ているんじゃないか。ってことですね。つまり透過スクリーンのミクさんがいないと、うまく指揮ができないのではないでしょうか?しかしそんな理解はどうでもよく、あのネット音楽がオーケストラで演奏されていると考えると、じーんとくるものがありました。

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2016年3月24日 @Zepp Fukuoka

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 友人が博多に住んでいるので、遊びに行きがてら、一緒に観に行きました。友人は初音ミクのライブは初めてです。ワールドツアーの開始第1弾が福岡で、あまり地場ではないミクさんと思われましたが、若干のノリの違いはあったものの、見事なライブでした。あの曲をやってほしかった、とか様々ありますけど、長丁場のグローバルセットの開始と考えると、今回のは妥当じゃないでしょうか?

 先年の札幌で公開された例のアンコールがあり、またミクさんの演奏を見ることができましたw。

 友人はなかなか頭の処理が追いつかず、乗り切れていないようでした。その後飲んだんですけど、ずっと初音ミクの構造の話をされました。まぁなんというか、なかなか処理できない理由はそうだと思います。何せ初音ミクって因果律が高いものですから。なかなか偏に説明できないものです。

 

 思えば、僕もそんな時期ありました。今はもうそういうのに頭を使うのをやめました。面倒なのと、それだと、経験できるものが少なくなるからです。あとで「ああそうなんだな」となんとなく思えばいい話なんです。

 

 図書館に行って、ジャンルから本を探しに行くのか「こんなのもあるよ、こんなのもあるよ、ってレコメンドされて本を探すのの違いとでもいいましょうか。最近は音楽にはそういう態度で接してきている気がします。

 

 友人には「雑になった」と言われましたけどw。博多っ子ですからね、そういうこと言います。

中目黒、カセット専門店

Waltzと言うお店。カセット専門店があるというので行ってみました。

 

waltz | カセットテープ & レコード from 中目黒

 

 東急線中目黒駅から10分ちょっと。住宅地の中にあります。表通りからそんな遠くないので、迷うことはほとんどないでしょう。

 店内は中古レコードとカセット、カセットテープの再生装置(ラジカセ、ヘッドフォンステレオ)が並んでおります。僕自身、カセットにずっと凝っているのですが、専門店があるとは思ってもいませんでした。グーグル先生にふと検索をしてみると

 

 この店はこんなブログで、紹介がありました。

 

silly.amebahypes.com

 

 実店舗に行ってみると、確かにカセット、たくさんありました。気になるお値段は・・・。

 

結構します(笑)。

 

 どれもいい値段(2000円台〜3000円代後半)。掘り出し物を探さねば、かかるお金は青天井かもしれません。装置も確かに動作保証をある程度するとなれば、あのぐらいの価格になるのは致し方ないかもしれませんが、オークションで買って自分で整備する腕があれば、もっと安く済みます。でもね、そんなこと普通できないってのもわかります。なのでやっぱり買っていくんですね。みなさん。

 

 僕と同じ時間帯に入った若い方も、The Smithsのカセットと、P社のヘッドフォンステレオを購入していました。カセットで聞くThis Charming Manは最高だと思います。グッドラックです。

 

 カセットを買った後で知ったのですが、おそらくこの店にある在庫はほぼ、デッドストックの新品だと思います。ということからすれば、かなりリーズナブルとも言えます。

 

 僕が買ったのは、いずれもベスト盤。どうやら、ベスト盤は少し安価な模様。カセットって実際、アルバムなんて滅多に聞かないんですよね(笑)。神曲だけでいいって思いますもん。ウォークマンはそう言った神曲ばかり入ったカセット聞けるからみんないいって思っていたというところがあります。ただ、ものの価値というのは違っていて「オリジナルか、そうでないか」になります。まぁ、そんなこと言ったらカセットなんてコピー品なんだけど(笑)。

 

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 (購入したカセット、※ウォークマンは私物。いずれもとってもいい音でした)

 

 「カセットの魅力」って何でしょう?ってことなんですけど、何といっても「気軽に聞けるアナログ音源」ってことです。

 LPレコードってプレイヤーが大きいし、歩きながら聴くなんて絶対に不可能。今はディジタル全盛期なんですけど、アナログの音ってのは「格別」なものです。そういうのを持ち歩けたり、気軽に聴けるってのはカセットの良いところです。また、録音することが可能なカセットは、ディジタルしかない音源、ネット音楽なんかもアナログ化してくれます。こんな装置は今はカセットしかないと言ってもいいです。装置もそこそこリーズナブルに手に入ります。

 

 価値を感じているところは人それぞそれなので、10人に聞けば、10人違うことを言うんだと思いますけど、なんていうのか、価値を突き合わせるってことですね。そういうのができた気がします。

あえてのPSP その1

 ゲーム機といえば、もうずっと携帯ゲーム機です。一時期はそれすらスマホに変わっていくのかと思っていましたが、スマホゲームは空前のガチャブームですし、パズルゲームはそんなに好きでもありません。

 やはりストーリーがあって、綺麗なグラフィックがあって、モーションがあって、感動できる。

 これが僕のゲームに対する要求です。

 

 機械は2013年頃に、Playstation VITAを買ったのですが、今まで買ったゲームは5本もありません。そのうち2本がミクちゃんのProject DIVAです。なんていうのか、いろいろあるんですけど

 

「ゲームに5000円も払えない」

 

 ってのが現実です。

 

 VITAのソフトはだいたい5000〜6000円します。しかもあまりキラータイトルがないというか、業界が一度沈んだ影響を受けているというか、これっていうのがあまりないです。

 

 そこで再度浮上させようと考えたのがPSPです。今がちょうど「終わったばかり」のこの機械ですが、今ならまだパーツやソフトが沢山あります。ソフトは名作も数々あり、中古であれば1000円〜2000円とVITAのソフトより半額か1/3程度の値段で買えます。少しレトロになると、もうワゴンセール以下で250円なんてのもあります。ここまでくると、ソフト価格はもはや、スマホゲーム並です。

 

 早速入手の準備をします。

 

 VITAの機械の値段の相場は初期型のPSP1000で4,000円前後、PSP2000で5,000〜6,000円、最終型のPSP3000で6,000円〜7,000円と言ったところです。PSP1000がもっとジャンク値でたくさんあるかと思いましたが、改造ベースに人気があるらしく、タダ同然の値段という風にはならないようです。

 

 スーファミなどのエミュレータコンソールとして使う予定はないのと、ゲームのしやすさ(軽量、画面が明るいなど)を考慮して、PSP2000以降の機械を安価に購入することとしました。

 

 Bookoffで本体を吟味します。状態のいいPSP2000が5,000円ほどで手に入りました。薄いパープルのものです。残念ながらメモリースティックとバッテリーが欠品、その他はすべてありました。付属の箱によると、購入年月日は2007年。約9年ぐらい前です。まぁ当時のバッテリーはもうだめでしょう。中古品か、新品を入手する必要があります。メモステは確かに機種変だと引き継ぐので、ないこともありますね。

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(新たに手に入れたPSP2000)

 

友人や家族に連絡してみます。

 

① PSPは持っているか?

② 型番は?

③ バッテリーやメモリースティック、ソフトは持ってるか?

 

おおよその答え

 

①もっている

②1000か2000

③バッテリーは入っている。メモステはもっている。ソフトは売った。

 

 私の弟は1000、友人は型番がわかりませんが、持っているとのことで、身近にある友人から、バッテリーとメモステを入手することにしました。あー、本体って結構持ってる人いましたね。買うことなかったかもしれませんw。

  でもカスタムとかしたいので、くれるのでなければ自分の個体を買ったほうがいいですね。

 

 友人に会うと、8GBのメモリースティックとバッテリーを持ってきてくれました。ところがバッテリーを見ると、パンパンに膨れています。寿命ですね。メモステ8GBはなかなか優秀です。最大でもそれぐらいの容量だったと思うので、100パーセント回答でしょう。ただ問題はバッテリーです。バッテリーはPSP1000と2000で互換性がないため、弟のは使えません。仕方ないのでこれは中古をネットから買うことにしました。

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(膨らんだバッテリー)

 

翌日

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(安く買ったソフト)

 バッテリーとメモステを入れて、PSPを起動します。ちゃんと動きます。ソニータイマーはゲーム機には当てはまりませんね。丈夫なもんです。250円で買ってきたミクちゃんのゲームもバッチリプレイできます。曲に合わせて3Dのミクちゃんが歌って踊って、タイミングよくボタンを押します。

 

「面白い、神ゲーだ!」

 

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(6年前のゲームを起動)

 

 そうそう、こういう面白いのやりたいのです。妙な欲望に金をつぎ込むようなものではなく、面白いゲームをやりたいのです。

  

 こうして一通り動作チェックを行ったのちに、カスタムに入ります。古いものを再び動かすって、いつの時代も手間ですね。

 

その2に続く。

自転車をネットで「作りました」

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2年ぐらいコツコツとやっていましたけども、ようやく当初の思い通りの出来に仕上がりました。
 
空色のビアンキMTB。知る人ぞ知る、時を超える自転車です。2004年型を2010年型風にカスタムしてあります。
 
ヤフオクでボロボロの車体を落札し、ネット業者に塗装とリフィニッシュを頼み、ネットで設計書を探し、アマゾンや楽天で交換部品や工具を手に入れ、Youtubeやブログを参考にして組み立てました。防犯登録は近所のスーパーでやってもらいました。
 
大体の組みあがりはとうに終わっていたのですが、調整用の部品やらなんやらを手に入れたり、途中の状態のまま満足してしまったり、その間やる気がなくなったり、さまざまかかってしまい、気づいたら3年近く…笑。かかったお金も元々の販売価格を軽く超え(笑)。
 
でも絶版車ですので、ちょっと新品みたいなのは嬉しいですね。コンポーネントは販売当初のものより数段グレードが上です。
 
ほぼ組み終わったので細かい調整だけ、近所の大きな自転車屋さんにお願いしました。大昔と違って今の自転車は、調整が難しいので、一回やってみて懲りました。アタリがわからないんですよね。微妙すぎて。昭和の感覚だと。
 
3枚ギアのクランクはディレーラーの調整が2枚のものより3倍ぐらい大変。9速の変速は6速より大変。ディスクブレーキは調整がコンマ1ミリ単位です。
 
これはもうプロに頼んだ方がいいです。
 
お店での調整は預けて1週間ほど。お金にして数千円です。もし部品などを組むところから全て頼んだりしたら、工賃が自転車一台分を優に超えてしまいますので、自分で組むのは意味があります。
 
自分で組むのは面倒ですけど、好きなパーツを選べるのも良いところです。ITを駆使すれば必ずできます。間違いありませんw。
 
以前近所の喫茶店、夜はバーのお店の店主に、店作りの話をしたら、やはり店舗の内装は全部グーグルで検索して注文したと。レイアウトも全部パソコンでやったそうです。昔であればとてもリスキーで手が出せなかった事も、今やネットを参考にできてしまうのですね。
 
 
 

iRobot Roomba

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有名なお掃除ロボ!

友人が使ってないと言うことで、借りることにしました。4年ほど前の廉価版です。友人の家は3階建ての一軒家だという事と、神経質な性格で、電化製品を常時通電したくないとか、そういうことで、使わなくなったとのことです。

ウチの場合は、バリアフリーのマンションなので、まさにうってつけと言えます。

僕の場合、ルンバでお掃除が楽になる。というのもアレですけど、ロボットが掃除してくれると言う魅力にとりつかれ、欲しいなぁと思っていました。何せ家にロボがいる。これだけで21世紀という感じがします。

あまりに楽しみだったので借りる日まで、部屋掃除はせず過ごしていたため、かなり埃っぽくなった部屋を掃除してもらいました。

掃除時間は約1時間ほどで、まだ部屋の全体が掌握しきれていないのか、初回はかなり雑な感じに思いました。回らない部屋もあったりして…。

それでもドックに戻ったルンバのゴミタンクを見ると、ドッサリ埃が…。

翌日、二回目の起動。今度は結構くまなく各部屋を回ってくれました。実は本体にゴミセンサーが付いているので、部屋が汚いと何度も同じところを回るのだそうです。だから電池切れして部屋を回らなかったのか〜。軽く掃除しておけば良かったのです。

それにしても、ものすごい走破性です。狭いところは何回も切り返したり、ラグを巻き込んだりするとタイヤやブラシを逆回転したりして、巧妙に脱出します。

掃除自体は懐かしのフクバホーキみたいな構造でゴミをかきこんでるので、吸引自体はそんなに強力に吸ってるわけではないのですが、ガンガン進んで同じところも回るので、結果的にゴミは結構取れます。角の方も片方についている回転ブラシて回して結構取れます。

何回か回って、ルンバが慣れてくればほぼ全域にわたって掃除してくれます。面倒だった掃除が、1日一回スイッチを押すだけになります。当然やり残しは出るのですが、それはハンディとかでとっても良いかなと。

実はルンバ、借りる前に買おうとかなと思ってヨドバシに見に行ったんですね。各社の掃除ロボのロボ性能は如何なものかというのを見るのも兼ねて。

同じデモ場所で各社のものを同時に動かすと、T社の製品は障害物もないのにデモ中にエラーコードを吐いて止まってしまいました。S社のものは、しゃべるのですがw、「置き直してください」とひたすらアピール。そう言われてもな〜。P社のものは、センサーが敏感で家具に当たらないのですが、逆に裏目で、狭めの遮蔽から外に出れず。そしてiRobotのルンバだけ、果敢に攻めては切り返し、ガンガン当てながらもどんどん掃除していきます。

これを見ただけで、ルンバのロボ性能が他社のものに比べて圧倒的だとわかりました。最初に他社のを買ったら、こんなもんかと思うかもしれませんが、恐らく一度ルンバを買ったら他メーカーのは買えないでしょう。

ソフトウエアの基本性能はそんなに大きく変わらないだろうと読んでいましたが、今回借りた古い機種でも、その走破性能と頭の良さは充分でした。

ルンバがドックに戻る時も少し感動しました。少しずれて戻ると、位置を微調整して通電確認してから停止します。良くできてる〜。

正直こんなに良くできたロボだとは思っていませんでした。しばらく借りて、とても良かったら買ってみようと思います。



2500円のBluetoothイヤフォンがとってもいい

前に紹介した、TaotronicsというメーカーのBluetooth商品。イヤフォンが評判良くて「二つ」買ってしまいました。

 

以前、トランスミッターを買って印象が良かった同社の商品なので、前からちょっと興味がありましたし、PS VITAで使う無線イヤフォンを探していたし、amazon評価600を誇るハイコストパフォーマンスなイヤフォンとのことで。

ポチッと。実売2200円弱。


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いやでもですね。驚きました。最初に買ったのがこれです。TT-BH03。箱の梱包は比較的丁寧ですけど、正直安っぽい。

Bluethoothイヤフォンて、霞がかかったようなノイズや、息を吐くようなブリージングノイズがあったり、ヘッドセット型特有の電話機みたいな音質がしたり、結構失敗してきました。


今まで使ってたのはオーディオテクニカBluetoothアダプター。アンプ内蔵なので、比較的音にまとまりがあり、たまに使ってました。アダプターなのでお気に入りのイヤフォン使えますし。でも、やっぱりブリージングするようなノイズが気になる商品ではありました。もう何年も前に買ったものですからね。


まぁ、2000円なのでって気軽な気持ちで買ってみたBH03ですが、エージングもせずVITAとカップリングしてみると驚きました。

 

「えっ!!」

空気感がいいんですね。イヤフォンて耳に直接なので、感覚に個人差があり、結構好みが分かれる機器ですけど、性能差ってのは比較的よくわかります。まずBluetooth特有のノイズがないことに驚きました。先ほど「えっ」と思ったのは、音が出はじめると、かすみがかったようなノイズがまず現れると思っていたんですね。そこに静寂の中から音が出はじめたので驚いたのです。いや、普通のジャック式ならそんな事でおどろかないのですけど、Bluetoothでこれには驚きました。受信機の進歩はすごいものです。

低音はなんだか絶望的なのですが、BA型のようなヴォーカルがくっきりした素晴らしい音です。クラシックなんかもとても良いです。


そんなにいいドライバーを使っていないのでしょうから、そういうチューニングをしているだけだと思うのですが、正直全く期待していなかったし、期待もできないこの安っぽいボディから出てくる音に驚きました。以前買った2万円以上したゼンハイザーより明らかに上です。機能も性能も。

 

気を良くした僕は、オープンエアのBH03に加え、カナル式のBH06を注文しました。こちらもamazonで2500円未満のものです。やはり500以上のレヴューが付いています。本日届きまして、またエージングもせず、iPhoneにつなげてみました。狙い通りカナル式なので、低音が十分出ています。ノイズもなく、接続アナウンスも英語でなかなかカッコ良いです。(BT03は接続アナウンスはないのです)

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ちょっと高音部がシャリシャリしますが、エージングでこの辺りはかなりマイルドになるはずです。イヤーパッドもコンプライとかに変えれば、かなりフィットした感じになるんじゃないでしょうか。2500円のイヤフォンに1200円のイヤーパッドってのもどうかと思いますが・・・。

とにかく、わかりやすい技術進歩による音質改善とこの低価格。BTイヤフォンって、やっぱり周辺機器なんですね。技術革新でこんなのが出るなんて…。

 

 

 

 

ビートルズ専門家

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という職業が、かつてはあった。テレビの鑑定番組にもいた。熱烈なコレクターで、深い理解と作品・アーティストへの愛情。そして異常なまでの情報量。人当たりが良く、誰でも好きになるような人。エキストリームなナイスガイを演じながら、鬼の執着心があるような人。それが研究家である。俺だってそんな人に憧れる。

かつてはそれを名乗るまでには、多大な努力と、様々な犠牲が必要だったはず。おいそれとなれる存在ではないのだ。

でも今はどうだろう。専門家と呼ばれる人はいなくなり、あれだけ文章力の高かったコレクターズだって、他の音楽ファンジンと変わらない。専門性は個人に偏ることなく、皆の「ちょっと好き」に分散し、一人一人の知見を集めれば、嘗ての専門家に近い情報はすぐ手に入ってしまう。

ビートルズで言えば、極め付けは2009年のリマスターだろう。1990年代の初CD化の時を楽しみな反面、レコードとほぼ同じ情報量またはそれ以下だった結果を知って一番安心したのは、専門家達かもしれない。自分達の専門性は守られたからだ。ビートルズ研究家で居られるのだ。

ところが2009年のリマスターは完全にインターネット時代の情報操作、つまり民意で作られ、ステレオに限って言えばほぼ、決定版と言える内容だった。個人的にはあそこが転機だったと思う。なんでも手に入ってしまう。

わかるのだ。

「こいつら、楽しみながらポールの作業をして、事もあろうにビートルズのレコードを作っちまった」

って。それは素人にだってわかった。

専門家による情報世界は瓦解し、今や絶滅したに等しいのかもしれない。自分達は単なる多くのフォロワーの一人であり、それは「へぇ」ぐらいのことでしかないのだ。ファンがビートルズのオリジナルレコードを作るなんてことはあってはならなかったのだ。少なくとも2009年までは。

ビートルズはフラワーカルチャーのバンドではないし、フェスにも出ない。出るたびにベーシストが変わったりしない。民意なんて必要ないのだ。ポールであり、ジョンであり、リンゴであり、ジョージである事が大事だった。

俺も痛快だと思った。2009年のリマスターは。でもその反面、ビートルズが現れることはもう二度とないのだなぁと実感したのだ。

アップルがビートルズの配信を始めた時、1965年ぐらいのライブを流してた。ボールは歌もベースもMCもやったし、マイク位置も変えたしなんでもやっていた。ようするに、当時のただのロックバンドで、リーダーのポール、頑張ってる!

1965年にはキャーキャー言うアホなギャルしかその姿を追っていなかった。

でもそんな目撃談のようなものに一番価値が出る時代になるなんて誰が思っただろう。